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平成26年度 提言のまとめ

指定管理者制度の導入から10年を経過したことから今年度の提言は、
「指定管理者制度導入から10年の振り返りと、これからの指定管理者制度のあり方」
というテーマでまとめております。

「提言」の前段は、指定管理者制度が導入されてからの様々な効果を示し、
利用者(住民)にとっての効果、自治体にとっての効果、そして指定管理者にとっての効果と
3つの立場に分けてまとめ、制度の導入によって多くの成果があったことに着目して整理しております。

次に、後半部分でこれまでの10年で改善が進んだ事項、
そして、将来に向けてさらなる改善が期待される事項として提言をまとめました。
・「公会計(現金主義)と企業会計(発生主義)の違いに対する理解と対応の推進」
・「必要経費(一般管理費・本部費)の考え方」
・「財政援助団体としての行政監査(地方自治法第199条7項)」
・「目的外使用の適正範囲の考え方」
・「公共料金(大震災後の電気料金等)の値上げなどのリスク対応」
・「消費税率の引き上げ」 などがそれらの項目です。

10年が経過し、取り巻く環境も大きく変化してきています。
そのなかで魅力ある制度として活用され続けるためには、今後も官民が協働し
解決していくべき課題が常にあるはずです。これら新旧の課題に対して、
官民協働の事業という視点から、継続的かつ適切に対処し、
それぞれを克服していくためにも、私ども指定管理者協会の「提言」は一定の役割を持っていると考えています。


(1)自治体と指定管理者それぞれが互いの「立場」「環境」「ルール」
  に関する理解を深める

・指定管理者制度は、住民の福祉を増進させることを目的として導入された
 多様化する住民ニーズへの効果的かつ効率的な対応が実践できた。
  結果として今まで以上に適切なコストのもとで運営されるようになった。
一方、一部では指定管理者制度の本質が理解されておらず、
 単に「コストを削減するための制度」として捉えられてしまうケースがある。
・自治体担当者は全ての民間事業者が「事業を継続していくために必要な一定の利益」を
  確保するために、適正な一般管理費が必要であるということを各自治体および担当者に
  は認識いただきたい。
制度導入により
・当協会では、指定管理者制度の本来の目的である住民の福祉の質の
 向上に寄与できるよう取り組んでいくべきであるということをこれからも啓発していく。





(2)公の施設の統廃合の検討の中では「公の施設の管理に係るビジョン」と
 「指定管理者のミッション」を見直し、公共サービスの向上に努める


・公の施設の統廃合の検討の中では、地域が抱える課題の分析や、
  周辺の関連施策の計画を踏まえて、当該施設の事業活動によってどのような
  成果を期待するのかなどを整理した「当該施設の管理に係るビジョン(構想)」を
  策定していくことが重要である。
・公の施設が複合施設化することによって、従来よりもサービス提供の形よりも
  一層幅が広がる。設置目的を明確にした上で、指定管理者の提案内容に
  一定の自由度を与えられるような仕組みの構築が一層重要になる。
・状況によっては、設置根拠法令や条例を中長期的な視点のもと見直しを図り、
  より良いサービス提供が妨げられないよう環境整備に努める必要がある。
 



 
(3)利用者の安全安心の確保のため、震災などの発生を想定した官民の役割分担と
  リスク分担のあり方を具体的に定める


・将来想定される震災など自然災害の発生時に向けて、予め今後発生し得る
  リスクを整理した上でその回避策を検討することが重要である。
・自治体と指定管理者との間では、以下の対応策を検討し可能であれば
  協定書にその内容を明記することが重要である。




(4)サービスの量・質を維持するためには指定管理者の適正利益の確保が期待され、
   民間のノウハウを活かせる環境(条例上の制約など)を整える


・社会情勢の変化とともに、実際の運用と対象となる施設の整備時に定めた条例などの
  内容には次第にひずみが生じ、中には大きな乖離が発生している事案がある。
・統廃合などの施設再編時に改めて設置根拠法令や条例、設置目的について検証する
  ことはもちろんのこと、現状の根拠法令や条例が、実態と乖離がある場合には、
  是正や見直しを図っていくことも重要である。
 




(5)老朽化する施設を長期的に維持保全していくための仕組みを構築する

・近年は多くの自治体で「予防保全」の考え方を導入し、「公共施設保全計画」を
  策定し、老朽化する施設についての今後の対応方針を定めている。
・指定管理者制度を導入する施設においては指定管理者が最も現場の状況を
  把握しているため、正確な情報を報告していく義務がある。
その上で、一定規模の修繕についての応急処置を指定管理者に委任することも、
  迅速な対応の観点から有効である。
具体的に実施すべき取り組みとして下記を提案する。
①公の施設の“安全・安心”の確保に向けた役割分担の明確化。
②予防保全の考え方に基づいた保全計画の必要性。
③修繕の定義、実施可否判断に関する責任範囲の明確化。
 




(6)社会に信頼される取り組みを自ずと醸成する制度・仕組みを構築する

・公の施設の運用にあたっては、地域住民、行政の他、議会、その他諸団体との様々な
  調整が必要となり、立場の異なる多くのステークホルダーに広く満足いただけるような
  施設運営を図っていくことが必要である。
・指定管理者側には、良識あるコンプライアンスを徹底できる施設運営と、
  いずれのステークホルダーに対しても公平公正で、かつ、施設の運営状況や
  指定管理者である民間事業者の経営状況などに対する透明性の高い説明責任が求められる。
・このような状況に対応するために、多くの民間事業者においては
  地域社会全体に信頼されることも重要な要素となり、信頼に足る経営基盤を
  確保するための取り組みに自然と注力するようになっている。
・このような取り組みに対し、企画提案時や業務遂行時に一定程度評価される仕組みを
  構築し、自治体側の立場からも後押しを図っていただけることが、
  より良い施設の管理運営、ひいては更なる適正な制度運用につながる。

   




                                                               以上